【父の命日に思い出すこと】

michiko yamada m
「お父さんは、男の子がほしかったみたいよ」
幼い頃から母にそう聞かされていた。
 
私は第一子ということもあり、
とにかく生まれてくれたらいい。との思いだったそう。
 
次は男の子に期待したものの、次女。
もしかしたら、男の子になる薬ができるかもと、
出生届を期限ギリギリまで待つ始末。
 
3番目は待望の男の子。                   
身体が弱いからと、父は禁煙した。             
私も小児ぜんそくだったのに…と少しやっかむ。       
弟は1歳の誕生日を待たずに亡くなった。
 
4番目はやっぱり女の子。                  
たぶん、父は諦めたと思う。
 
母の推察と根拠を聞いて育ち、               
いつしか『男であることがそんなに偉いのか!!』との     
敵視に似た思いが、私の前提になった。
 
 
日頃のちょっとしたやり取りが、              
その前提を強固なものにしていった。
 
そして父も含めて、                    
男性への言動にトゲが加わっていたと、今振り返る。
 
 
「お父さんは男の子がほしかったみたいよ」
これは、あくまでも母の主観。
 
父から直接、言われたことは一度もないのに。
「そんなのアッタリマエだよ」って             
言われるかもしれないと想像したら、            
怖くて自分から聞けなかった。
 
ただ、堂々と振る舞おうとだけは決めていた。
 
成人した私は、父を飲みに誘う。
新橋で待ち合わせして、うなぎの登亭へ向かう。       
その後、甘味の立田野に。                 
私にメニューを見せて決めさせると、            
じゃあそれを2つと私につきあう体で注文する。        
父は甘いものも好きだ。
 
 
父「一緒に酒が飲めるなら、むしろ娘の方がいい」
 
な~んだ!
一緒にお酒が飲みたくて男の子がほしかったんだね
今でこそ女性1人で気軽に飲めるお店は増えたけど、      
誕生当時は珍しかった。
 
娘と一緒に飲みにいく未来が想像できなかったのはしかたないね
 
それから父と飲むことが増えた。
ある時は、先輩と後輩のように
ある時は、お酒好きの友人のように
 
 
今日は父の命日。
今夜は、どんな風に飲みたい?
それでは、後ほど。