「頑張りすぎたあなたへ」

高山明美

「頑張りすぎたあなたへ」

大手広告代理店で営業として活躍していたあなた。独身から結婚後も、大好きな仕事を続け、訪問のたびに見せてくれる明るい笑顔がとても印象的でした。

けれど、会うたびに私は「家事は少し手を抜かないと体を壊してしまうよ」と声をかけていました。それでも数か月後、目の前に現れたあなたは、以前のような輝きが薄れ、どこか疲れ切った様子でした。

仕事も家事も、どちらも完璧にこなそうと懸命に努力していたのだと思います。だからこそ、体が限界を迎えてしまったのも無理はありませんでした。

やがてあなたは退職という選択をし、「もっと早くアドバイスを受け止めていれば」と静かに言い残して去っていきました。

営業という仕事を心から楽しみ、天職のように輝いていたあの姿。そのときのあなたの後悔が、今もなお、私の心に残り続けています。

そして、私は思うのです。本当に優秀な人ほど、「まだ大丈夫」と限界を見誤り、すべてを抱え込んでしまうのだと。

だからこそ、もし今、少しでも無理をしている自覚があるなら。頑張り方を見直すタイミングは、“限界を迎える前”にしかありません。

誰かに頼ることも、手放すことも、能力の低さではなく「選択」です。一人で抱え込まないでください。

あなたが経験してきた迷いや後悔は、決して無駄ではありません。その経験を、次に悩む誰かの支えに変えてみませんか。