役員会で悔し涙を流した日、そして外に向けて見つけた仲間たち。
これまで2回にわたってお話ししてきました。
【第1回】会議室から飛び出し、階段で泣いていた私
【第2回】悔しさを「外」に向けたら、仲間がいた
今回は、10年以上の休止を経て、いま私が新しく「アルモニス(ALMONIS)」を立ち上げる理由をお伝えします。
カサブランカは、私が東京へ移ったのを機に、いったんお休みになりました。
コロナ禍の少し前、「カサブランカ・ミリア」として再始動しようとした矢先に、今度はコロナがやってきて、それもしぼんでしまいました。ほぼ休止状態が続いたのです。
それでも私の中では、コロナ禍のあいだに、ある思いがふくらんでいました。
「女性が仕事の悩みを語り合えて、先輩の知恵を受け取れる
——そんな場が、やっぱり欲しい」
かつてのカサブランカでは、私たちは「現役で悩む当事者」でした。
けれどいまは、その時期を通り越して、今度は悩んでいる後輩たちのために、自分の経験を分かち合える立場になっています。
だからこそ、もう一度。
そう考えて生まれたのが、アルモニスです。
「いまの女性経営者を取り巻く環境を、どう感じますか」とよく聞かれます。
正直に言えば、かなり改善されてきていると思います。
上場企業は、株主総会などの場で「女性役員がいるかどうか」を問われ、いなければ「入れなさい」と指導されるようになりました。
日本の企業も政府も「女性の役員を増やそう」という機運にあります。
大手企業に女性社長が次々と誕生し、女性の感性が見直されてきているのを、テレビを見ていても感じます。
ただ、気がかりもあります。
「女性なら誰でもいい」と、企業経験のない方を急いで役員に据えるケースです。
座学で学ぶことはできても、企業の中で実際に揉まれてきた経験は、また別のものだと思うのです。
そして何より、根っこのところはまだ変わりきっていません。
伝統的な日本の会社、大手企業ほど、男社会の色が濃く残っています。
実力で上がってきた女性が、嫉妬され、邪魔をされ、セクハラやパワハラに遭う。しかも、被害を受けた側がなぜか誹謗中傷される
——そんなニュースを、私たちは何度も目にしています。
被害者なのに、です。おかしな世の中です。
「あと5年我慢すれば、うるさいおじさん世代がいなくなって会社は変わる」と言う人もいます。
確かに、若い男性は私たちの世代とは感覚が違うでしょう。
でも、5年も待っていたら、こちらの体力も気力も衰えてしまう。
世代交代を待つのではなく、変えるなら、いまなのです。

私はこの会社で、たくさんの失敗をしてきました。
経営の経験そのものが初めてでしたから、当然です。
でも、だからこそ思うのです。失敗例こそ、座学では教えてもらえない、と。
人材育成の講座は増えました。
けれど、生々しい失敗の話は、なかなか表に出てきません。
失敗してこそ、次の失敗を防げる。
「あ、こういうとき、こう言われるのか」と先に知っているだけで、避けられることがたくさんあるのです。
私が28年の経営で味わってきた悔しさも、しくじりも、ぜんぶ分かち合いたい。
後輩たちには、もっと楽に、波に乗っていってほしい。
それが、私の一番の願いです。
そしてもうひとつ。
私は「マルチタスク」という女性の力を、心から実感しています。
いくつものことを同時に回す
——これは多くの女性が得意とするところです。
その得意分野を社内で活かせたら、企業はもっと良くなる。
日本だって、もっと活性化するはずです。
人口の半分は女性なのですから。
優秀な女性がこれほどいるのに、その力を眠らせておくのは、あまりにもったいない。
ナイジェリアの経済学者で、世界銀行の副総裁まで務めたンゴジ・オコンジョ=イウェアラさんの言葉に、私は深く共感しています。
「女性の持つ気配りや能力を見逃すことは、その国にとって大きな損失となる」
日本社会にも、女性が活躍できる場があるのに、何かがそれを阻んでいる。
それを、もっとほぐしていきたい。
アルモニスは、その思いから生まれました。
この記事では、私がアルモニスを立ち上げようと思った背景と、いま一番伝えたい想いをお話ししました。
アルモニスがどのような場なのか、どんな活動をしているのか、そしてご参加について
——ここでは詳しくお書きしません。
すでにご用意しているご案内ページのほうに、私たちが大切にしていることや活動内容、参加の流れまで、丁寧におまとめしてあります。
もし「もう少し知りたい」「自分も関わってみたい」と感じていただけたなら、ぜひご案内をご覧ください。
ALMONIS代表 高山明美
【アルモニスのご案内を見る】